前回、製図用紙の別注断裁品の加工現場(大型断裁機)のご紹介をしましたが、その隣の現場では製図用大判ロール紙の製品加工が行われていました。今回はこちらの現場をご紹介します。
弊社においては設計製図業界向け大判ロール紙のカテゴリーは、インクジェットプロッター用とPPC用(レーザーLED等のトナー方式)の大きく二つに分類されます。
このコラムをみていただいている方は、業界のプロの方が多いと思いますが、経験が浅い方に簡単に用途やポイントをご説明します。製品、業界について知っているという方は、『4.製図用大判ロール紙の加工現場』へお進み下さい。
---目次-------------------
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1. 製図用大判ロール紙 インクジェット用
インクジェットプロッター用大判ロール紙は、設計製図業界において、CAD図面等の線画や3Dプリント用データなど面画の出力用に使用されています。1990年代頃に、染料系インクを使用したロール紙が登場し、2000年代以降には、耐久性の高い顔料インクと精細な画像出力に適した機器とロール紙が開発され、設計製図業界において広く普及するようになりました。
設計製図業界で求められるインクジェットプロッター用大判ロール紙の特性としては、以下のようなものが挙げられます。
・高精細な画像出力とインク定着性
・耐久性、耐水性、耐光性に優れている
・伸縮性や反りなどの変形が少なく、安定した出力が可能
・コストパフォーマンス
近年のニーズとしては、上記の特性を保ちながら環境に配慮したロール紙が注目されています。
2. 製図用大判ロール紙 PPC用
PPC=トナー方式(レーザー、LED)プロッター用大判ロール紙は、設計製図業界において、インクジェットプロッター用紙と同じくCAD図面や面画用データなどの大判出力に使用されています。トナー方式の大判プロッターとは、トナーを紙に熱転写することで画像を出力する方式で、インクジェット方式のプロッターと比べて、印字スピード、耐久性に優れていることが特長です。
PPCプロッター用大判ロール紙は、インクジェット方式のプロッターが普及する前から設計製図業界で採用されていました。
PPCプロッター用大判ロール紙に求められる特性は、下記が挙げられます。
・印字速度
・耐久性
・コストパフォーマンス
PPC用プロッター用大判ロール紙もインクジェットプロッター用大判ロール紙と同じく、現在は環境配慮を求められています。
3. 製図用大判ロール紙 紙の厚み・サイズ
弊社製品も含め、設計製図業界で使用されるプロッター用大判ロール紙の厚みは、米坪量で表すことが多いです。紙の米坪量とは1平方メートルあたりの紙の重量を表し、単位はg/m²です。
弊社カタログでも出来るだけ米坪量を表示するようにしています。
(他メーカー様含め紙の厚みを表示している製品も有り。)
米坪量は、紙の厚みを示す指標となり、一概には言えませんが厚い紙ほど坪量は高くなります。
製図用大判ロール紙で採用されている紙の厚さ(米坪量)は、インクジェットプロッター用紙、PPC用ともに64~100g/㎡が主流となります。
サイズは機器により特殊なサイズもありますが、インクジェットプロッター用紙、PPC用ともに297mm、420mm、594mm、841mm幅が主流で、巻き長は機器が求める特性からインクジェットプロッター用は30~50M巻き、PPC用は150M巻きが主流となります。
4. 製図用大判ロール紙の加工現場
さて、前置きが長くなってしまいましたが、いよいよ製図用大判ロール紙の加工現場をご紹介します。
こちらが今回の巻取り用の加工機です。
幅(W)・奥行(D)・高さ(H)ともに2メートル前後といったところでしょうか?
セットする紙基材のコアです。
製品をケースや袋から出してしまうと、複数の製品を利用している場合、わからなくなってしまうのでコア内に識別・管理用のラベルを貼る場合があります。
原紙、コアをセットして巻取ります。
今回は50メートル以内の巻き長製品の為、意外にあっけなく、数十秒で終わってしまいました。
もちろん、これを数十本~数百本生産することになります。
巻き取りを終えた小巻ロール紙のテープを止め、ビニールに入れて専用のラベルを貼る作業を行います。
これらはすべて、手作業で丁寧に1つ1つ行っております。
段ボールケースに入れて完成。
サイズや用途、価格帯にもよりますが2本/4本入りの場合が多いです。
積上げて弊社の物流センター(関西、関東、他)へ出荷です。
5. まとめ<桜井の強み>
今回は、設計製図業界で使用される大判ロール紙の加工現場をご紹介させていただきました。
弊社では原紙の手配から加工所手配まですべて行っており、既製品の生産以外にもOEM品、別注対応などをさせていただいております。長年、製図業界で使用される用紙を取り扱いさせていただいている実績と経験から、前回の別注断裁加工及び今回の小巻ロール加工以外にも、紙・フィルムの加工では全般的にお役に立てることもあるかと思います。
是非些細なことでもご相談いただければ幸いです。
執筆者紹介
高谷 陽介(takatani yousuke)
1992年桜井株式会社に入社。
50歳オーバーながらマーケティング部に今年配属。趣味はバイク・麻雀・ゴルフと昭和のサラリーマンを絵にかいたような男が、令和を生き抜くため日々Webマーケティングを勉強中。