
製図用紙のトレーシングフィルムを知る
製図用紙のトレーシングフィルムとは?
1. トレーシングフィルムの基本情報
2. トレーシングフィルムの特徴
3. トレーシングフィルムを選ぶ5つのポイント
4. トレーシングフィルムが使用される具体的な場面
5. トレーシングフィルムの購入窓口
6. トレーシングフィルムに関するお役立ちコラム
1. トレーシングフィルムの基本情報
トレーシングフィルムとは、原料がPET(ポリエチレンテレフタレート)で形成された合成フィルムのことです。フィルム素材であることから、強度や耐熱性、耐水性に優れており、トレーシングペーパーよりも図面を長期保管・保護する用途に適した用紙となります。
米国デュポン社が開発し商標を取得しているブランド名の「マイラーフィルム」と呼ばれることも多くあります。他にも「製図用フィルム」、「マイラーシート」、「ポリエステルフィルム」、「PETフィルム」とさまざまな呼称があります。
また、設計・製図用途以外の分野でも、その特性を活かして科学実験用の真空装置の窓材、X線写真(レントゲン)のカルテ用途に使用されています。
2. トレーシングフィルムの特徴
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インクジェットプリンター用と幅広複合機(PPC/LED)用、手書き用の3種類がある
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忠実に再現できた図面を長期保管できるため、官公庁での資料で指定素材となっている
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高い透過性から複写(トレース)用途で重宝されている
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耐久性や耐熱性、耐水性が高い
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マットコーティング面(表面がザラザラな面)に鉛筆の筆記性があり、印刷も可能
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マットコーティングは、片面だけのもの、両面に施されたものがある
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商標名「マイラー」の認知度が高いが、他にも多くの種類の呼称が存在する
3. トレーシングフィルムを選ぶ5つのポイント
トレーシングフィルムを選ぶ5つのポイント
① マットコーティングの仕様
② 厚み
③ 方眼線の必要性
④ 紙管(コア)と用紙の接合部分
⑤ ロール紙の内径と外径
① マットコーティングの仕様

マットコーティングの仕様は、片面・両面の2パターンあります。
片面の場合は、マットコーティング層となる少しザラザラとしている面が表、ツルツルとした光沢感がある面が裏となっています。
両面用の場合は、どちらもザラザラした面となり、表裏関係なく使用できます。
マットコーティング加工がされている面は、鉛筆筆記性および印刷適性があります。光沢のあるツルツルした面は鉛筆筆記性および印刷適性はありませんが、ペンやボールペンを使用して記入することはできます。
プリンターによって対応仕様が異なるため、プリンター応じたトレーシングフィルムを購入しましょう。
② 厚み

主な厚みは50μm、75μm、100μm、125μmとなっており、50μm=#200ということがあります(例として#200は、200番と呼びます)。これは、メーカー問わず同じ表現となります。
50μm=#200
75μm=#300
100μm=#400
125μm=#500
用途によりますが、製図用途で一般的に多く使用されているのは75μmです。
③ 方眼線の必要性

「方眼紙」は、あらかじめマス目(方眼線)が用紙に印刷されているものとなります。「セクションペーパー」とも呼ばれているもので、建築図面などを手書きで書く際に便利な仕様となります。
対象物の形をなぞる用途として発掘調査や採拓作業にも採用されています。
方眼紙の仕様は、一般販売されているタイプ以外にも、独自にデザインや方眼仕様をカスタマイズした用紙を作成、購入することができます。
④ 紙管(コア)と用紙の接合部分

幅広複合機(PPC/LED)用のロール紙を検討している場合に、確認する必要がある項目となります。
接合部分の規格には「素巻(フリーエンド)」「テープ止め」の2種類があります。一部プリンターでは、対応していない規格のロール紙を使用してしまうと故障の原因となる旨の注意喚起が記載されています。
印刷をするプリンターの仕様を事前にご確認ください。
⑤ ロール紙の内径と外径

プリンターの種類によって取り付けられるロール紙の規格が異なります。
プリンターモデルごとに内径及び外径の最大数値が記載されているため、用紙の購入前に必ずプリンターの仕様表をご確認ください。
下記では、目安となる一般的な数値をご紹介いたします。
インクジェットプリンター用ロール紙の場合
内径:2インチ(約50mm)の紙管
外径:約110mm以下
レーザープリンター(PPC/LED)用ロール紙の場合
内径:3インチ(約75mm)の紙管
外径:約176mm以下
4. トレーシングフィルムが使用される具体的な場面

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保管用のフィルム図面
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対象物の形をなぞる用途として発掘調査や採拓作業用途
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歯科などで使用するX線写真(レントゲン)のカルテ用途
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科学実験用の真空装置の窓材用途
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地積調査で作成した公図用途
5. トレーシングフィルムの購入窓口
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