トレーシングペーパーは、原料である化学パルプをより細かく叩解したものを加工することで生成されています。この工程を行うことで、習字で使用する半紙のような透け感を出すことができ、様々な図面や絵などを書き写す(トレース)することができます。
もともと青焼き印刷(第二原図)が主流だった時代は、ジアゾ感光紙と呼ばれる光に反応して図面が写る用紙と同じくらい必須なアイテムでした。現在では、印刷機が普及したことで青焼き印刷という文化はなくなっております。
しかし、図面や絵を書き写したい場合に今でも重宝されているトレーシングペーパー。
今回はそんなトレーシングペーパーを選ぶ際に気になる『透明度』『コスト』『規格数』の違いを比較・検証をしていきたいと思います。
※2024年5月30日時点の情報に更新しております。
---目次-------------------
2.検証方法について
3.検証結果
4.おわりに
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1.検証に使用したトレーシングペーパーの紹介
それでは今回の検証に使用するトレーシングペーパーをご紹介。
インクジェット用
① IJトレペ60(60g/㎡
② IJトレペ65(65g/㎡
③ IJトレペ80(80g/㎡
PPC用
④ スタートレスT66(55g/㎡
⑤ ハイトレス75(75g/㎡
⑥ ハイトレスN80(80g/㎡
⑦ GSN85(85g/㎡
手書き・ペンプロッター用
⑧ スタートレスT806(40g/㎡
⑨ スタートレスT808(50g/㎡
以上の9アイテムとなります。
2.検証方法について
☑全体からみた比較
☑ルーペ(15倍率)でみた用紙表面
☑ルーペ(15倍率)でみた透け感
※今回検証した結果は位置を変えた場合、結果が変わる可能性があります。
3.検証結果
▶インクジェット用トレーシングペーパー
透明度 ★☆☆
価格の安さ ★★★
サイズの豊富さ★★☆
こちらはインクジェット用ロール紙(トレペ)の中で㎡単価が安く、もっとも薄いタイプです。透明度は今回検証したトレペの中では、IJトレペシリーズの中では透過性が低い結果となりました。とはいえ、国内で生産されている用紙のため用紙品質は問題ありません。
コスト面では平均単価がインクジェット用トレペの中では安いため、コスト重視の場合におすすめする製品です。モノクロのみ対応となりますのでご注意ください。
②IJトレペ65 ※販売終了いたしました
透明度 ★★☆
価格の安さ ★★☆
サイズの豊富さ★☆☆
IJトレペ65は規格が現在「594㎜×70m」の1種類だけとなっているため、IJトレペ60よりもわずかに厚みが必要な場合におすすめです。厚さ+2µm、+5g/㎡の違いではありますが、透過度が上がっているように伺える結果となりました。もう少し透過度が欲しいけど、金額は抑えたいという場合にご検討ください。こちらもモノクロのみ対応となります。
透明度 ★★☆
価格の安さ ★★☆
サイズの豊富さ★★★
厚みがあることで耐久性が高まり、くしゃくしゃになりづらいです。透明度はIJトレペ65と同等程度と思われます。視覚的には変わりないですが、厚みがないほうが透明度は高いのかもしれません。規格は豊富にあり、扱いやすい製品となっております。60g/㎡の厚みに不安があれば、こちらを検討してみてはいかがでしょうか。モノクロのみ対応となります。
▶PPC用トレーシングペーパー
透明度 ★☆☆
価格の安さ ★★★
サイズの豊富さ★★☆
検証したトレペの中ではもっとも透過度が低い結果となりました。長繊維のパルプを使用されているため透過性は低いですが、折り曲げる際の弾力がトレペ60よりもあると感じました。
透明度 ★★★
価格の安さ ★★☆
サイズの豊富さ★★★
検証した製品の中で1,2を争う透明度だったと思われます。耐久性もあり、規格も多く用意されているためサイズがなかったなど、困ることにはならないトレーシングペーパーとなっております。安定した素材から好まれる傾向の多い製品がこちらです。
透明度 ★★★
価格の安さ ★☆☆
サイズの豊富さ★★☆
ハイトレス75と同等程度のような透明度でした。高透明度とカタログに記載されているだけあって、こちらも通常のトレーシングペーパーよりも優れているように感じます。ハイトレス75と比べると規格は計4種と若干少ないですが、80g/㎡程度の厚みが必要な場合はこちらがおすすめです。しかし、コスト面で考えると厚みもあるため仕方ないですが、少し高めかもしれません。
透明度 ★★★
価格の安さ ★☆☆
サイズの豊富さ★☆☆
検証したトレペの中でもっとも厚みがある製品となります。丈夫で透明度もあるという意味では、安心感がある製品です。その分コストも高めではあるので、運用面で検討は必要となるかもしれません。PPCコピー用のカット紙(A3,A4)の規格しかないため、使いどころが限定されてしまうので、その点においてはデメリットとなってしまうかもしれません。ただし、一般的に使用されるサイズはA3,A4かと思いますので、十分にその透明度を発揮できると思います。
▶手書き・ペンプロッター用トレーシングペーパー
透明度 ★★☆
価格の安さ ★★★
サイズの豊富さ★☆☆
検証したトレペの中でもっとも薄い40g/㎡の製品となります。薄さから㎡単価も安く、コストパフォーマンスに優れている製品です。薄さ故の耐久度、湿気対策は十分に必要だと感じるほどの薄さとなっています。20m巻のため、お手軽に購入し使用できるのも長所になるかと。ただし規格は2種類のみのため、豊富さは1と評価させていただきました。そんな使いやすさもあり、420㎜幅の販売数量は断トツ1位となっております。薄すぎるため、手書きやペンプロッターの運用に適す高コスパな製品です。
透明度 ★★☆
価格の安さ ★★★
サイズの豊富さ★☆☆
スタートレスT806と同様のシリーズです。厚みは少し増え50g/㎡ですが、これまでの紹介した製品に比べると薄いタイプに部類します。透明度やサイズの豊富もスタートレスT806とそん色ありません。こちらの420㎜幅も人気があり、T806よりも厚みが欲しい方のご採用が多い製品になります。こちらも薄すぎるため、手書きやペンプロッターの運用に適す高コスパな製品です。
4.おわりに
如何でしたでしょうか。
売れ筋の規格としては420㎜幅、594㎜幅が多く、カット版のご採用も多いようです。
普段当たり前のように買っていた製品との比較から、新たな発見や興味を持っていただけていると嬉しい限りです。実物を実際に見て、判断したいという場合はお気軽にお問合せを頂ければご対応しております。
比較を行ってみたとはいえ、透け感や書き心地、丈夫さなどは実物を見てみないと決断できるようなものではないと考えています。桜井株式会社で販売しているトレーシングぺーパーは、これまで長年に渡って販売を続けている『実績』と『信頼』がございます。
自信を持っておすすめいたしますので、ぜひご検討ください。
今回紹介したトレーシングペーパー各種は、桜井株式会社が運営するオンラインショップ
『SAKURAI Direct shop』からご購入することもできます。
次回の記事もぜひご覧いただければ幸いです。
執筆者紹介
石井 優樹(ishii yuuki)
2018年入社。印刷用紙の営業担当を経験し、現在の部署ではマーケティング分析を勉強中。執筆するコラム記事はジャンル問わず。ページに訪れた方に役立ったと思ってもらえることを第一にコンテンツ提供を心がけてる。一児の父親として休みの日も全力投球。